感想/COMITIA123/餅屋。(餡子)/La Nostra Storia(+appassionato)

 R-18

novel18.syosetu.com

 多分こちらの物理書籍版。差分は確認してない*1

一言で感想

 やっぱり執事が最強のポジションですね!!!


 いや、ほら、やっぱ執事って、無理なく全体に関われることのできる立ち位置なので、どうやってもここぞという所で格好良くなっちゃうと思うんですよ。だってそこでいる意味のない執事だったら最初から存在しなくて良いわけで……!


 メインディッシュとしてのふたりに対して、どちらに対してもここぞと言うときに鍵の立場になれるキャラが強く印象に残った。言い換えると、それだけメインのふたりが格好良くもあり強くもあり、弱くもあり可愛くもあるわけで、それを想定して期待して読んでいる所もあるので、終始一貫性を持ってそこに立っているキャラ(執事)は強まっちゃうと思うわけです*2

なんやかんや感想

 見事にプロローグの流れを不穏な何かと勘違いしてたまま読み進めてしまっていたので、エピローグの直球展開にすごくほっとした。作中で若干不穏な流れ*3があったので、いつどんな困難が降りかかってくるのかーと過剰に身構えすぎました。

 お話の流れとしては、もう、先述したように、アラフィフのおじさまの格好良い所があれば情けない所もあるし「その攻め方は嫌らしすぎるのではないか!」と「年齢の割*4にいちゃいちゃしすぎかー!」とか、なんか無駄に恥ずかしくなりながら読んだりしてた*5

 男性向けだとか女性向けだとかカテゴリがあるわけではなく、単に傾向でしかないとは思うのですが、ヒロイン*6の乙女っぷりが新鮮*7でした。何というか、弱さの描かれ方が、儚げな方向に行ってるキャラを見るのが久しぶりだったというか……。これもうまく言語化できないのですが、守ってあげたくなる見せ方として、良い意味でも悪い意味でも重さを感じたのかな、と。

 あるいはストーリーの山の組み立て方みたいな話で メインヒロインがひどい目に遭う という構成要素*8は、男性向け創作ではなかなか入り込まない*9ので、その部分に、いつも見てるお話とは違う、(その過去を持ち続けるという)強さや、(一度はそれに苛まれる)弱さというのを感じたのかも知れません。

 それにしても、最初っから最後まで、ひたすらにおじさまがヒロインのことを全方向くまなく愛してくれるという、(おそらく書き手の)好みっぽい所全開なのが読んで伝わったというか、思い切り正しく日の当たるポジションでの(いわゆる)NLの世界だよなぁと再認識しました*10

 模範的に細かいことを突っ込み始めると、絶対に色々と やりすぎ/飛ばしすぎ/いきなりすぎなのでは? という場所は色々あると思いますが、それを押し流すだけの(商業ではなく、同人だからできる、尖って大胆な)勢いを気持ちよく感じました。

 お話終盤の、結婚に向けてのシーケンスであるとか、エピソードあれこれについても、なんとゆーか乙女的執念というか、作中のキャラにさせてみたい展開、みたいなものであるのかなと、勢いやディテールについて、こちらもとても熱量が良かったと思います。

appassionato

 男子中学生的には appassionato じゃなくて presto とか、風情のないことを言ってゲラゲラ笑う所だと思いました(最低の感想)*11

……じゃなくて、ええと、さらに身も蓋もない第一印象としては ここまではじけると、わりと男性向けも女性向けも互換性あるよね みたいな*12

 いわゆるまさに*13愛で一杯な薄い本なので、読んでて楽しいというか……ある意味、最も*14無防備な瞬間が強く描かれているので、知ったキャラの、普段ではなかなか見られない隙めいたところ*15を眺める、というのは、それだけで楽しい、特権的なことだと思います。そんなおまけ本。

 それにしても、やっぱ普段優しく描かれるおじさまに限って、色々解き放つと、攻め方が微妙にやらしくなるよーな印象がある。真綿で首を絞めるような焦らし感というか、最終的にSかMかで言ったら絶対Sだろ、みたいな。


 以上、色々と一気に読んだので、乱文的*16な感想でした。

*1:テキストが若干量と、あともしかしたら挿絵数枚かな……

*2:というのは、大分ひねくれた読み方かも知れませんが

*3:3章

*4:私が思い描く50前後の男性の印象

*5:一応、男性成人向けの文章創作の経験はあるのですが、それにしたってよそのおうちのことをじーっと眺めるのは恥ずかしいですね……

*6:有紗

*7:個人の感想です

*8:余談ですが、最初にこの系のシーケンスに触れた作品はふしぎ遊戯でした……

*9:いわゆる陵辱系みたいのだったら逆にガンガン入るので、本当に両極端ですね……

*10:愛に正しいも正しくないも、本当は存在しないと思うんですが、自分の周りで見かけやすい愛の形は、どうも激しい形のものが多かったので……

*11:単に中学校時代にやってた部活動を思い出しただけとも言う

*12:ノクターンもムーンライトも、上澄みめいた部分は近い味になるのでは、みたいなそう言う感想

*13:書き手も、あるいは作中人物も

*14:身体的にも、精神的にも

*15:しかもそれが一次創作で

*16:ブログなので乱筆にはならない